行動経済学と老前整理7

老前整理の鉄則を行動経済学からみると



 老前整理の鉄則として2010年の講座を始めた時からこの鉄則の話をしてきました。


行動経済学からみた老前整理の五つの鉄則です。

1、一度に片付けようとしない

 これは体力的な問題もあるので、無理をしない方がよいこと。また頭の整理、心の整理をする時間も必要なので、急がずマイペースの勧めです。

 よくある失敗は、押し入れの中のものや洋服ダンスの中のものをすべて出してはみたものの、どうすればよいかわからなくなり途方に暮れることです。

 目の前に服の山があり茫然としている。これは「選択麻痺」に陥っているともいえます。

 選択肢が多すぎてどれを選べばよいのか判断がつかなくなり、決定を先送りします。


2、最初から完璧を目指さない

 これは行動経済学でいう「確実性効果」で説明しましょう。

 確実性効果とは客観的確率が100%の近くで、主観的確率が客観的確率を大きく下回るので、100%にするために大きな努力がはらわれることをいいます。

 テニスの試合で考えてみます。

 たとえばあなたがテニスの選手でサーブが入る確率が65%と66%ではそれほど違うとは思わないでしょう。しかし確率99%を100%にするにはどれほど練習が必要でしょう。

 同じ1%の差ですが、感じ方が全く違います。

 つまり完璧を目指すということは99%では満足せず、100%を目指すということなのです。

 そして厳しい道だから挫折しやすいのです。老前整理では100%を目指さず、65%でも続けることが大切なのです。


3、家族のものには手を出さない

これは「フォールス・コンセンサス効果」(総意誤認効果)で説明できます。効果は自分と他者の間に共有されているコンセンサス(合意性)を過度に見積もる認知的バイアスのことです。


4、片付け前に収納用具を購入しない

これは行動経済学で「現在志向バイアス」と呼ばれるものに当てはまるでしょう。つまり将来的な事を考えずに、目先のことを簡単に解決しようとしているのです。

5、使えると使うは違う

 これはまだ使えるとものを保管しておくのでなく、使うかどうかで判断することです。この使えると使うをやはり行動経済学の「サンクコスト」に当てはめてみましょう。

 サンクコストは埋没費用と訳され、すでに支払ってしまった費用や時間のことです。これはすでに支払ってしまったお金のことが頭にあるために、冷静に考えれば選ばないような選択をすることです。

このように5つの鉄則も行動経済学で説明が付きます。なぜ不合理な行動をするのか、理由があるのです。

  (『老前整理の極意』より)                          




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