ひとり暮らしの老前整理


ひとり暮らしの4つのパターン

@若い頃からずっとひとり暮らし

A同居していた親が亡くなり、ひとり暮らしになった    

B夫を亡くしてひとり暮らしに    

C妻を亡くしてひとり暮らしに

 多くの人はいつかひとり暮らしになります。今はご夫婦で仲睦まじくても、同時に手を携えてあの世に逝けないでしょう。
つまりどちらかが残されるのです。 
ひとり暮らしもそれまでの状況により違うので、それぞれみていきましょう。

@若い頃からずっとひとり暮らし

 若い頃から長年ひとり暮らしを続けていると、まず自分のことは自分でできます。もしくはしてくれるサービスを知っています。友人の大切さもよくわかっています。また年をとる不安もいちばん持っていますので、いざというときの準備はいちおう考えているでしょう。落とし穴があるとしたら、わかってはいても自分はまだ若い、大変になるのはまだまだ先のことだと思っていることです。風邪をひいたり、足をくじいて動けなくなったときに、はっと気づく人もいます。

 1人で暮らすということは、スペースも時間も1人で思い通りに使えます。

 また誰に遠慮することもなく、どこで何を散らかそうと自由です。文句を言う人はいません。脱いだ服が山のようになっていても、掃除をしなくても、ほこりで死んだ人間はいないと開き直ることもできます。つまり自分が良ければそれでいいということです。

 家族で暮らしているとそうはいきません。どこかで互いに譲り合わないとトラブルになます。家族から「少しは片づけて!」と責められると、ひとり暮らしは気楽でいいなと思われるでしょう。しかし、その「人の目」のないひとり暮らしの気楽さがものを増やし、片づかない(片づけない)原因になっていることもあります。

 対策としていちばん簡単なのは友人を招くことです。

 そのためには;少しでも家の中を片づけますね。いくら親しい友人でも、招いておいて、けもの道のように服や本のすき間を歩けとはなかなか言えないでしょう。

 わざわざ友人を招くなんてことをしなくても、ちょっと片づければ済むことではないか、と思う人もいらっしゃるかもしれません。いえいえ、片づけられる人はそもそもこんな状態には陥らないのです。

 友人を呼んで自分にプレッシャーをかける。たとえていうならば国内で進まない問題に外圧をかけるようなものです。

 友人が来るとなると「いつか片づけよう」では間に合いません。来客があるその日までに、家の中を何とか片づけようと努力するでしょう。

 実際、ひとり暮らしで「老前整理」をはじめようとする人にアンケートをとると、動機の上位に「友達を呼べるようにしたい」というものがきます。

 家に友達を呼べばゆっくり話ができるし楽しいということがもちろんありますがそれだけではありません。一度来てもらえば、急病のときに助けてねと頼むこともできる。ひとりで寝込んだらという不安もこれで少しは軽くなるし、部屋も片づくという一石二鳥です。

 片づかない人とは反対に、うちは「すっきりピカピカ」という人もいるでしょう。つまりひとり暮らしは自由であるだけに、その人自身の状態が住まいに表れます。

 以前はきちんと整理整頓ができていたのに近頃は難しいという方は、体調が悪い、忙しすぎる、ストレスがたまっているなど、原因を考えてみてください。


A同居していた親が亡くなり、ひとり暮らしになった

 同居していた親が亡くなりひとり暮らしになった人は、仕事を辞めて介護をしていたとか、働きながら親の面倒を見ていた人が多いでしょう。

 若い頃は母親に食事や洗濯までしてもらって気楽に働いていたのが、いつの間にか中年を迎える頃になると立場が逆転するのです。 買物や食事の支度、そして介護となりますが、もう自分も若くはない。

 この状態で長年暮らしていると、自分のことを考える余裕もなくなり、介護に疲れ、その日その日をどう過ごすかで精一杯になってしまいます。

 そして親が逝った後のショックも大きいのです。

 一日でも早く介護から解放されたいと思っていたのに、いなくなってしまうと自分が抜け殻のようになってしまうこともあります。

 実は介護をしていたはずなのに精神的には病床の親に支えられていたとか、張り詰めていた心がしぼんでしまう場合もあります。

気が付けばこんな年になっていたのかとがく然とすることもあるでしょう。また介護に追われて友人とも疎遠になっていることも多く、相談もできないかもしれません。

 この場合、まず精神的に立ち直ることが必要です。

まず仕事を再開してみましょう。連絡の途絶えていた友人に連絡を取ってみることもよいですね。

話を聞いてもらうだけで、気持ちが軽くなることもあります。

他には何か自分にできること、したいこと、つまり生きがいを見つけること。

そして規則正しい生活をしながら、親の遺品整理に取りかかります。しかし心の整理ができないと荷物に手がつけられません。またそのままずるずるとものをためこんでごみ屋敷になる危険があります。

 時間が解決してくれることもあるので、今後の自分の暮らしや人生設計をゆっくり考えることがまず第一歩といえるでしょう。

                                                                                                


B夫を亡くしてひとり暮らしに

 男女の平均寿命からすると、妻の方が長生きします。そして妻もそのつもりで覚悟、つまり準備をしています。

老前整理をはじめる動機の一つに、「一人暮らしになったときのために」というものがあります。妻が考えているのは、もちろん自分の荷物の整理もありますが、夫の荷物の整理も含んでいるのです。

山のような蔵書や趣味のものを残されても困るので、早めに自分で始末をつけてほしいと願っているのです。

 夫の葬式の翌日に夫の衣類を全部処分したという妻もあります。私の経験からですが、夫が亡くなり、夫の荷物を整理するのがつらいという妻は5人に1人くらいのようです。

 女は薄情だと思われるかもしれませんが、たぶん、より現実的で、悲しみと日々の暮らしは別のものなのかもしれません。

 周囲を見回してみてください。妻を亡くした夫と、夫を亡くした妻を比べると、夫を亡くした妻の方が元気で活き活きしているのではないでしょうか。

 家事も自分でできるし、友達もいる。ひとりになれば遠慮なく友人と泊まりで旅行にも行けるし、やりたいことができるという感じすらします。女性はリセットが上手なようです。


C妻を亡くしてひとり暮らしに

 いちばん大変なのが妻に先立たれた男性です。有名な芸能人なら若い女性と再婚もできるかもしれませんが、一般的には難しいですね。

 男性は女性とは逆に、なかなか妻の遺品を整理できないようです

 七回忌でようやく決心したという男性や、一三回忌を過ぎても手つかずという場合もあります。気持ちの整理と共に、どうすればよいのか片付ける方法がわからないという人もいるようです。

 父親が嘆き悲しんでいるのでは、子どもたちも母親の遺品に手が付けられません。

 ひとり残された男性がまず困るのは家事です。

 洗濯は洗濯機の使い方を覚えれば何とかなります。食事も総菜を買ってくればまかなえます。

 いちばん困るのは何がどこにあるのかがわからなくなることです

 妻が元気なうちは、自分の下着さえどこにしまっているかを知らない男性も多いのです。

 そして友人が少なく、ご近所にも知り合いが少ない傾向にあります。

 また切羽詰まらないと自分から援助を求められない。つまり妻がいようがいまいが、自分のことは自分でできることが重要で、男性は自立がキーワードです。

『心と暮らしを軽くする「老前整理」入門』より          

                                        


問題別

・なぜ片づけられなかったか⇒理由

・50歳からの暮らしを創造する ⇒老前整理のナッジA(自分史年表)

・家族のコミュニケーション⇒老前整理だからできる

・このままではものは増えるばかり⇒なぜ老前なのか

・未経験の老いることへの対策⇒老いを受け入れる

・「いつかやろう」を解決する⇒老前整理のナッジ@(カレンダー)

・安全について⇒暮らしと安全

・災害について⇒災害への備え

ひとり暮らしになったら老前整理をするために

・子どもたちに託すこと⇒仏壇や墓のこと

・子どものいないご夫婦⇒2人で今後の計画を立てる

・高齢の親の家の片付け⇒ゴミ屋敷にならないか心配!

・親の介護中⇒介護をしている人ほど、自分を大切にしよう!

・家族の遺品整理は一筋縄ではいかない⇒「もの」の整理「心」の整理

・空家で困っている⇒実例紹介

・体調がわるいとき⇒焦らない

・男性の老前整理⇒はじめの一歩