なぜ老前なのか


なぜ老前なのか

 月日とともに、年を重ねるごとにものは溜まっていきます。これは捨てたり手放すものより、買うもの、いただくものなど入って来るものの方が多いからです。

 試しに一度、一週間にどれだけのものが家の中に入ってくるのか、中元歳暮や何かのお礼のいただきもの、食品や郵便物、チラシなどを数えてみてください。いかに入って来るものが多いかがよくわかると思います。

 今よりも五年後、十年後の方がもっとものが増えていることでしょう。だからこそ、早く整理する方がものも少なく、片づけのハードルが低いのです。

 ものを増やすことと捨てることを比べると、どちらが簡単でしょうか。そうです、もちろん増やすことは簡単で、捨てることはとても難しいですね。

 それは逆じゃないかと思われる方もいるでしょう。しかし多くに人は物が足りなくて困っているのでなく、多すぎて困っているのです。なぜだと思われますか。

 これは「もったいない」や「高かった」「まだ使える」という気持ちが、いざ捨てようとしたときに必ず立ちふさがるからです。

 そして「いつか、そのうち」と思っているうちに時間が過ぎてしまったという人も多いでしょう。

 戦後もののない時代を過ごしてきた世代は特に、ものを捨てるということ自体ができない、捨てることに苦痛を感じるという方もいます。またこの世代に育てられた娘や息子にも同じ価値観が伝えられている場合もあります。

 もったいないというお気持ちはよくわかりますが、このまま放っておいてもものは片づきませんし、問題は解決しません。

 また、家の中の収納スペースは無限ではありません。

 何を残すかを考えて選択していかないと、ものに埋もれて生活ができなくなるのではないでしょうか。家の中にものがあふれ、そのせいで日々の生活が不便になったり不自由になったりしたらどうでしょう。ものが主役ではなく、人間が主役なのです。

 私の経験では、年を重ねるほどものを手放せないもので、ものがあることが安心につながっているようです。だから介護を受けている高齢者のものを勝手に片づけてしまうと、精神的に不安になったり、取られたという妄想に発展する場合もあります。

 だからこそ、早めに自分で決断と実行をしていただきたいのです。これは人に無理強いされてもできませんし、することでもありません。ものの価値観は夫婦でも親子でも違います

 夫が大切にしている学生時代の片袖が敗れているラグビーのユニフォームを、妻が「そんな汚いもの捨ててちょうだい」と言えばどうなるのか、想像がつきますね。

 大切にしていたものを手放そうと決断するには心の整理と時間がかかるものです。

 ものの整理は自分が納得し、自分のためにやってみようと踏み出さないとはじまりません。

 それがこれからの暮らしの安全や安心につながるのです。

 どちらにしろ、「老前整理」は一筋縄ではいかないと覚悟していただく必要があります。

『心と暮らしを軽くする『老前整理』入門』より                   

問題別
なぜ片づけられなかったか理由

・50歳からの暮らしを創造する ⇒老前整理のナッジA(自分史年表)

・家族のコミュニケーション⇒老前整理だからできる

このままではものは増えるばかりなぜ老前なのか

・未経験の老いることへの対策⇒老いを受け入れる

・「いつかやろう」を解決する⇒老前整理のナッジ@(カレンダー)

・安全について⇒暮らしと安全

・災害について⇒災害への備え

・ひとり暮らしになったら⇒老前整理をするために

・子どもたちに託すこと⇒仏壇や墓のこと

・子どものいないご夫婦⇒2人で今後の計画を立てる

・高齢の親の家の片付け⇒ゴミ屋敷にならないか心配!

・親の介護中⇒介護をしている人ほど、自分を大切にしよう!

・家族の遺品整理は一筋縄ではいかない⇒「もの」の整理「心」の整理

・空家で困っている⇒実例紹介

・体調がわるいとき⇒焦らない

・男性の老前整理⇒はじめの一歩